私の年賀状作り 

ウッドライクマツムラ  松村 茂

@ 原案作り

直しや色の取替が簡単にできるため、パソコンを使って原案を作ります。作業中はマウスの勢いを大事にして、太い線を使ってダイナミックに描くよう、こころがけます。

皆さんご承知のとおり、マウスで描くというのは思い通りに線が引けません。しかし、はみ出したりした線や思いがけない軌道の線、つまり偶然の線も、面白いと思う部分は大事に生かしながら原案作りをします。

手直ししすぎて絵の勢いが消えたり、説明的にならないように、気をつけます。色は時々入れ替えて試行錯誤、色のバランスを整えます。

パソコンで作った原案の絵
(クリックすると拡大)
picture/hebi.genzu.jpg (48738 バイト)
A トレース作業

原案が決まったら、プリンターで出力します。

次にトレーシングフィルムを使って、プリントした絵の境界線をなぞってトレースします。

hebi_tore-su.gif (167079 バイト)
B 版木を彫る

原案から版分けをします。

5枚の板が必要と考え、刷り分けたい部分と外枠の部分を、5枚の板それぞれに写します。

(詳しく言うと、)輪郭線を描いた トレーシングフィルムを裏返し、間にカーボン紙をはさみながら板の上に貼り付けた後、彫りたい部分の線と外枠をなぞります。

(数多く摺る都合上、桜の版木を使っています。)

 写真は、版木。
(但し、摺り終わった後のもの)

hebi_hangi.jpg (119842 バイト)

それぞれの版木を班分けし、個別に摺ったのが下の5枚です。

hebi_01.gif (143092 バイト)  hebi_02.gif (123515 バイト)  hebi_03.gif (130380 バイト)  hebi_04.gif (149566 バイト)   hebi_05.gif (42437 バイト)
D 摺りの調整

さて、版木を左から順番に摺り始めると、一版目を濃くすることで、版木が 4枚でも間に合うのに気が付きました。五版目の版木が必要無くなったわけです。尾っぽのところが少々違ってきますが大きな違いありません。 数多く彫る場合には、一版でも減らして摺りたいものですから、せっかく彫った5版目ですが使用しない事に決めました。

上の版木の左から一版目、二版目、五版目を見て、ご確認ください。

           
hebi_01.gif (143092 バイト) hebi_02w.jpg (88254 バイト) hebi_03w.jpg (105220 バイト) hebi_04w.01.jpg (121357 バイト)  右が完成作品  
(クリックして拡大)
hebi_04w.01.jpg (121357 バイト) hebi_04w.02.jpg (109254 バイト)
E 摺りの本番

結局、4枚の版木を使い15枚以上の試し摺りをしてやっと本番。しかしながら、ヘビがぶら下がってる枝の色は最後まで迷ってしまい、いろいろな色を試す結果に・・・

順番に色を重ねて仕上がりました。右の二枚が仕上がり作品ですので拡大してご覧下さい。

一番右の画像は当社で今度売り始める和紙はがき(鳥の子白)を使って摺ったものです。
はがきに湿気を与えなくても、こっちの方がずっと絵の具が吸い込みやすく、綺麗に摺れました。

一番上のパソコンで作った原画とも見比べて下さい。

手摺り版画とパソコンの年賀状では、手に持って見た感じは全然違います。手のぬくもり、バレンで摺った色面の味わいだけでなく、絵が簡略されてことも手刷り版画の長所である事がお分かりいただけますでしょうか。

F 反 省

今回は、最初の一版目では濃いベタ色があった為、桜の版木に絵の具をたっぷり乗せざるを得ませんでした。

乾いたままの官製はがき(再生紙はがき)を使ってこれを一度だけで綺麗で濃いベタを摺るというのは少々無理があったようで、最後まで出来が不安定でした。


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