目からウロコ・・・? 動画で詳しく説明します !!
彫刻刀の研ぎが、画期的に上達する
その@ ―太った腹では刃先 密着せず ―
始めに、 右の砥石をみて、どう思われます? 版画や彫刻の解説本の言う通りに長い間 研いできた砥石です。 どうしてだろう?どうしてだろう?・・・教科書通りに研ぐにもかかわらず、研いでも研いでもあまり進歩しない・・・。そう思いながらも研ぎ続けた砥石、それが右の砥石です。 縦研ぎ法による研ぎ、砥石への溝作りや必要以上に裏刃研ぎを意識すると、このような表面の砥石になるのは必然ともいえます。 実際、溝幅の揃い、不揃いの違いがあるにせよ、水を使う砥石で研ぐ人のほとんどが、(特に一番使う中砥で、)このような表面形状を良しとして刃を研いでいます。 次に、右下にある市販の型付砥石をご覧下さい。 縦研ぎがしやすいように、あらかじめ表面加工したものですが、「彫刻刀は溝に沿って縦に研ぎなさい。裏刃もしっかりと研ぎなさい。」と、砥石は語っています。 しかし、・・・・・ これを使用して研いだとしても、溝がきれいな分、当初は研ぎやすいことが想像されますが、上と同様の道を歩み続けます。どうしてだろう?どうしてだろう?と悩みながら研いでいく内に、次第に変形して上の古砥石にようになってしまいます。 丸刀の研ぎを例に考えてみましょう。 溝があることで、かえって接する部分が見づらく、また当たる幅での圧力も一定ではない為、経験による色々な工夫、たとえば側部を下にした状態で角度を変えてみたり、縦研ぎしながら刀を回転させたりする不安定な技を習得せざるを得ないのが現実といえるでしょう。 縦研ぎではどうしても船こぎになってしまい、刃表に、(断面で見た場合の) 丸みができてしまいます。 刃表デブ・・・・これが一番良くないのです。
|
|
刃表デブ の説明 図中の赤線は解りやすくするための補助線です |
|||||||
右下の図
で説明する前に、買ったばかりの彫刻刀の
断面 を想像してみてください。
丸刀、浅丸刀、印刀(切り出し)、三角刀、平刀、平丸刀(頭を丸くした平刀)、その全てが Aのように直線になっています。 角度はまちまち(図@)であるにせよ、赤線で示したように直線(まっ平ら)であることに異論はありませんね。 「丸刀は丸いはず !」なんて言わないで下さい。この段階でどうしても首をかしげてしまう人は、新しい彫刻刀を前にしてじっくり観察して下さい。 刃の断面とは、刃を根元から刃先にかけて縦切断した時の、切り口形状のことです。
|
|
具体的な説明 刃表デブにしてしまうと、刃先が研ぎにくいばかりか、彫りの際にも大きな支障となってしまうのは理解していただけましたでしょうか?このページで理解していただきたいことは、 * 刃表が出腹にならないように研ぎましょう。 * 腹が出っ張ってしまった時には、凹ますことをまず第一に心がけていただきたい。 ということ。 では、次に下図の絵をご覧ください。しつこいようですが、絵を使って具体的な説明をいたします。 刃先を研がずに、刃表の中心にある 出腹部(ピンク色部分) を研ぐことを心がける。研ぎながら、イメージ的には出腹(ピンク部)を凹ませてしまうくらいのつもり。 定規を当てて直線具合を確認するのも良いかもしれません。 種類別にいうと、印刀、平刀、三角刀は、ピンク部を意識して面全体を平らにする。平丸刀や丸刀など刃先が曲面のものは、刃表の縦方向の辺が、曲面に沿ってどこも直線になるようにする。 ピンク色の部分を意識して平らに研ぎ続けていく内に、平らに研いだ部分は次第にひろがり、自然と刃先にまで到達します。裏刃にかえり(めくれ)が出てくれば手を止めます。これで刃表全体が平らなまま(スリムなまま)刃先が研げたことになります。 話は少し前後しますが、上図の@でメーカーの違う丸刀をご覧になったように、研ぎ角度は切れ味にはあまり大きく影響いたしません。それよりも、刃表全体がいかにスリムに研がれているかどうかが、肝腎なのです。(本当にくどい!!) 以上、お勧めしたい出腹研ぎは、手で研ぐには大変な苦労があるように思われるかも知れませんが、そんなことはありません。 次ページで説明する方法を採用して慣れてくると、さほどの苦労も無く研げるばかりか、上達するにつれて次第に楽しくなるかもしれません。 |
|