目からウロコ・・・? 動画で詳しく説明します !!

彫刻刀の研ぎが、画期的に上達する  

そのA ― 横研ぎ法に変えて研いでみよう ―

まず最初は、多くの人が採用している 縦研ぎ法です。

 刃先の辺(刃表と刃裏がぶつかっている連続部分)に対して垂直方向に研ぐ方法です。ストロークを長めにして研ぐ方が多いようです。片手だけで手軽に研げるというメリットがありますし、決してお勧めできない訳ではありませんが、人間の力学的に見ても船こぎになって当たり前のこの方法では、うまく研げるようになるまでには長い修練が必要となります。

 青文字をクリックすると、動画になります。

  印刀 動画    平刀 動画 丸刀 動画 三角刀溝研ぎ 動画 三角刀二面研ぎ 動画
左手で柄を持ち、右手を添えなければならないため、少々やりにくい。 図のように刃先が直線である平刀は、単純な上下運動。頭の丸い平丸刀は、若干柄を斜めにしながら上下運動。 動画をご覧の通り、溝内で回転させながら、上下運動する人が多い。  初心者の中に多く見られる、三角刀の溝研ぎ。この方法で、切れ味良く、快適に版木を彫れるように研ぐことは、至難の技といえましょう。 片面づつ研ぐこの方法では、刃付け以外に左右の形のバランスも気になってしまいます。研ぎに関して三角刀は、最も難しい彫刻刀といえましょう。
この他には螺旋(らせん)型、8の字型に研ぐ方法なども知られていますが、上記を含め、いずれも上達すのに時間がかかり、安定性もあるとはいえません。 

 さて次は、 お勧めしたい 横研ぎ法 です。 

前ページで説明したイメージを持ちながら、この動きで研いでいただくと、 刃表デブにならず、研ぎが上達いたします。

補足説明をする必要がありますが、まずは動画をじっくりとご覧下さい。

 
印刀 動画  平丸刀 動画 平刀 動画 丸刀 動画 三角刀 動画 

柄を右手で持てて楽なこともあり、多くの人がすでに採用しています。左手を添えて安定させて研ぐ。

左手を添えながら回転させて研ぐが、柄の尻のほうの回転ストロークが長いので平刀より難しい。 直線的な上下運動。 浅丸は比較的やりやすいが、深丸刀は難しい。深丸刀は手手前、中間、先に分けて作業するとやりやすい。 砥石を削る抵抗が強い。
さらに詳しい動きが見たい時は→リアル動画 さらに詳しい動きが見たい時は→リアル動画   さらに詳しい動きが見たい時は→リアル動画 (但し、浅丸刀です) さらに詳しい動きが見たい時は→リアル動画

補足説明  ― 横研ぎ法で研ぐ際に心がけること ―

砥石は、いつもまっ平ら

基本です。

 

砥石は、二枚をこすり合せたり、面ならし材を使って、たえずまっ平らの状態に直しながら、研ぎ作業にあたって下さい。横研ぎ法は、砥石がまっ平らであるからこそ可能な方法なのです。 また、「いつもまっ平ら」という一定の環境条件であるからこそコツもつかみやすく、上達も早いのです。

ここで薦める横研ぎ法とは、ストロークも短いばかりか両手で下に強く押さえる方法。ゆえに、欠点として、すぐに砥石がへり、でこぼこに荒れてしまいます。少し研いでは面ならしを行い、また少し研いでは面ならしを行うといった繰り返しの作業となります。面ならし作業は、実際の研ぎ作業と同じくらいに労力を使い、実際、砥石の減り具合は、縦研ぎ法とは比べ物にならないくらいです。

研ぎの途中での面ならしが面倒な方は、なるべく広い砥石を用意しましょう。作業で荒らしては、新たな平らのスペースを探して移動するといった繰り返しを行えば、しばらくは研ぎだけに専念できます。

左手を必ず添えて、両手で砥石に強く圧をかける。 左手も使って砥石に強い圧をかけることで、慣れてくると、案外ゆっくりとした動きであっても、短時間で能率良く研ぐことができます。
ゆっくりと研ぐ。 慣れるまでは、ご覧いただいたリアル動画よりもさらに遅いくらいのスピード、つまり超スローで刀を動かし、砥石にあたる部分を確かめるようにして研いでみて下さい。

 

研ぎ跡を確かめる。 刃表の凹ませ作業から始めた場合では、始めの内の細線の研ぎ筋から次第に太い研ぎ筋になり、研ぎ抵抗も次第に大きくなるのが普通です。
裏刃は最後に軽く !! 研ぎを終えて試し彫りの段階で切れ味が良くない時には、「裏刃を研いで、なんとか・・・」と思うものです。しかし、刃表さえうまく研げれば、それだけで十分研ぎ味は良くなっているはず。刃裏に関しては、めくれをとることを中心に考えましょう。間違っても裏刃に角度をつけて研いだりしないようにしましょう。

印刀、平刀、平丸刀はぴったりと刃裏を砥石に密着できますので、仕上げ砥石で、必ず密着させながら横研ぎ、または引き方向だけの縦研ぎをしましょう。

丸刀、浅丸刀は、がりがりした荒砥のようなスリップストーンは使わずに、仕上げ砥石を薄くした板砥石を手に持ち、刃先に沿った横研ぎで、やさしくめくれをとりましょう。

三角刀の場合は、一番肝心な奥の奥までは届きませんので無理しない方が無難です。

荒砥石・中砥石・仕上砥石

の使い分け

刃表デブの場合は、迷わず荒砥石から始めましょう。刃先まで近づいたら、すこし砥石への圧力を弱めて研いでください。

中砥石も上記同様に研いでください。中砥石が終わった段階で、見た目にシャキンとまっすぐな腹になっていることが大事。試し彫りをしてみて、すでに仕上がりの切れ味でなければなりません。言い換えると、次の仕上げ砥石で、それまでの研ぎの悪さを挽回しようという考えは持たないように。

最後の仕上げ砥石ではツヤが出ます。中砥の鈍い光沢と見比べて、出腹の有無を再確認しましょう。

  砥石の選択 砥石に詳しい業者を訪ねて各メーカーの砥石の特徴や良し悪し、その他の話を聞くこと数回。現在、私(松村)はこのような 砥 石 を揃えて使っています。
最後に、

ベテランの方の中には、上の研ぎ説明に異論のある方もおられるかも知れません。また、縦研ぎを全く否定しているわけではありません。

しかし、縦研ぎではなかなかコツをつかめずにいて、うまく研げない人が多いのも事実です。

研ぎがうまくいかずに悩んでいる方、あきらめてしまった方は是非とも横研ぎ法をお試し下さい。


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