「 見当(けんとう) 」

多色刷りの場合では、画面本体の彫り部から離れた外側に、紙のかどと辺の一部を押し当てる部分をつくり、浅彫りします。これを作ることによって、紙全体からみた作品の乗せ位置が正確に定まるのです。

右かどに位置するエル字型の見当を「鍵見当 左側にある直線型の見当を「引き付け見当 」といいます。
鍵見当を左にした逆向きにすることもできますが、右利きの人の大半は、この方向で行います。


「内見当(うちけんとう)」

版木の中に、見当が彫り加えられているのを、内見当 といいます。

上は青色を乗せる版木、下は黒色を乗せる予定の版木ですが、どちらの版木も矢印の通り、見当が彫り加えられています。小さな版木の場合には一般的であり、精度の高い方法です。

「外見当(そとけんとう)」

「見当板」いう道具を使い、版木に見当部を彫らない方法を、外見当 といいます。

一番下にあるのが見当板ですが、このように鍵見当と引き付け見当を適した位置に彫り加えて使用します。版木と同じ厚みの板を使用するのが普通です。これ一枚で、一作品全ての版木に対応できます。

外見当は通常、版木寸法と画面寸法が同じという利点もあり、大きな作品をつくる時や見当彫りの苦労を減らしたい時に用いられることが多いのですが、内見当に比べて若干、精度が低いといえます。

※ 本来ならば千社札のような小さな版木は、内見当の方法を用いられるのが普通ですが、今回は外見当の解説をするために、外見当で摺りを進めます。

仕上げる千社札は、右の通りで二色刷り。

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